第2志望合格でも首相にはなれる
大学入試のセンター試験をめぐっては、受験生を悩ます猫の目のような改革や混乱が続いています。これは、文部行政の〝100来の伝統〟に則ったものかとも思ってしまいます。
明治から大正期にかけて旧制高校の入試の仕組みは学校ごとの単独か、それとも共通の試験による総合選抜かの間を揺れ動いていました。学校ごとの制度には「各校の難易差が広がる」との批判があり、総合選抜にも「地方には第2志望以下の受験者が集まるだけだ」との声が上がっていました。 それで今、英語の民間試験の活用を見送ったことを受けた文部科学省の検討会議でも「原点から再検討を」とする意見や「今までの方向性の維持を」という主張があったといいます。しかし、これでは落としどころも見えず、議論が長引くばかりです。
ただ、戦後の高度成長のころ相次いで首相をつとめた池田勇人と佐藤栄作は同じ年に熊本県にあった旧制第五高校に合格しています。2人が受験した大正時代の一時期、入試は全国統一で行われ、成績が良ければ第1志望に入れました。
で、2人とも五高は第2志望だったといいます。所得倍増に非核三原則と国の舵取りを担った2人の宰相の胸には、ちょっぴり第2志望合格の無念があったかもしれません。
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