ファミレスの深夜営業がなくなって困る人

 米国の人類学者ベネディクトは、戦後大きな反響を呼んだ日本研究の名著「菊と刀」のなかで日本人について興味深い指摘をしています。

 「容赦なく眠りを犠牲にする」  

 日本人は眠っていいときには喜んで眠りにつく半面、必要となると軍人も受験生も夜通しで頑張るという指摘です。寝る間を惜しんで戦後復興を成し遂げた日本の足跡を思うと、腑に落ちます。  

 その流れのなかで、価格で競い合っていたファミレス業界は24時間営業も取り込みました。しかし、その眠らない営業手法が今、変化の荒波に見舞われています。  

 外食大手「すかいらーくホールディングス」は、ファミレスの24時間営業を廃止すると明らかにしました。同じ取り組みをする大手もあり、深夜営業の減少が大きな流れになっています。  

 背景に、人手不足と若者のライフスタイルの変化などがあります。これは、抗しがたい変化の波でしょう。  

 ただ、ファミレスの深夜の雰囲気も定着していた日本の〝光景〟と思うと寂しくもあります。世の中、眠れない、眠りたくない人もいます。ファミレスは、そうした人々にとっての深夜の居場所でした。 

 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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