安倍政権は若者に巨額の借金という負の遺産を残した

〝昭和元禄〟などの造語で知られた福田赳夫元首相は蔵相だった1974年1月、当時の猛烈なインフレを〝狂乱物価〟と呼びました。当時、田中角栄首相の積極的な経済政策に石油危機が重なり、物価は年20%以上も上がっていました。  

 一方、田中首相の見方は違ったようです。田中元首相の〝愛人〟だった佐藤昭子さんの著書「私の田中角栄日記」には、こう書かれています。 

「大蔵大臣は狂乱物価と言うが、東大とか恵まれたところで勉強していた人たちだよ。昭和初期の恐慌(のひどさを知らないから、そんなことが言えるんだ」  

 政敵を牽制し、自分の政策を弁護したい狙いの発言だと思われます。  

 国民生活に直結する物価の動向は、政治家が注視すべき大事な課題です。昭和恐慌では物価が10%以上も下がる深刻なデフレに襲われ、街に失業者があふれたといいます。田中元首相には、そんな恐慌を繰り返したくないという思いもあったのでしょう。  

 さて、昨年の消費者物価上昇率は3年連続の0%台で0・6%でした。安倍政権が看板に掲げたアベノミクスの物価目標2%は、安倍政権が発足してから7年たっても実現のめどが一向に立ちません。  

 問題は、ハッキリしています、日銀が安倍政権の掲げた目標を何とか達成しようと空前の金融緩和に乗り出し、今も止められずにいることです。政府は歴史的な低金利が長期化したため借金をドンドン増やし、大振る舞いの予算編成を続けています。  

 安倍晋三首相は、今国会の施政方針演説で物価目標2%にまったく触れませんでした。低金利さえ続くと空念仏になっても構わないという姿勢ですが、このままでは巨額の借金という〝負の遺産〟を若者に残すだけでしょう。 

 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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