お金は飛脚のようなもの

 江戸時代後期には、お金にまつわる物語や教訓を挿絵入りで描いた本がよくつくられていました。お金を飛脚に擬人化した作品も、その一つです。

 お金は飛脚のようにすばしこく、家の中にはなかなか上がろうとしません。直ぐ〝立ち去ろう〟とするから、同じ場所に居着いてくれないことを風刺で描いたのです。  

 たとえば、家の者がお金の化身である飛脚にこう言います。

「とんと心が落ち着かない。まあ上がりなさい」  

 それでも、飛脚はつれないのです。 

「飛脚の身の上、たばこ一服でもとはなりません」  

 翻って今の世は、社会保険料を初めとして生活の基本となる衣食住に関するものは値上がりする一方です。お金が出ていくのを止められない点は、江戸時代後期と何ら変わらないのです。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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