周りからの呼称が変わる人生

 ロシア遠征の失敗で失脚したナポレオンは1815年、追放先のエルバ島を脱出しました。島を抜け出したあとパリに帰還して皇帝に復位するまで、新聞での〝呼び名〟がコロコロと変わっています。  

 島から脱出したときには、最悪の呼称で〝食人鬼〟と呼ばれていました。フランス本土に再上陸したときには〝コルシカの鬼〟と呼ばれ、やがてパリに近づくにつれて〝怪物〟、〝暴君〟、〝簒奪者〟と変わっていきました。  

 しかし、パリに到着する直前には〝ナポレオン〟、〝皇帝〟に変わり、最後は新聞に「皇帝陛下はチュイルリー宮にご帰還」と書かれています。  

 最終的に、百日天下の後の流刑先セントヘレナ島では、さすがのカリスマも厳重な監視の下で人生最後の日々を送ることになりました。  

 人は、人生の節々で周りからの呼ばれ方が変わっていきます。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000