モノを〝使い倒す〟社会は新品が売れない社会と背中合わせ

 江戸時代の川柳に、こういうものがあります。

 「古着屋が袖口で知る左利き」  

 買い取った着物の傷み方で、持ち主の利き手がわかるという内容です。 

 鎖国下の江戸は、慢性的な物資不足で究極のリサイクル社会でした。着古した着物はおむつや雑として再生利用され、ゴミとして燃やされた灰は「灰買い」に引き取られていました。  

 この時代、当時の職人の賃金上昇率から低成長経済だったという分析があります。モノを〝使い倒す〟社会は、新品が売れない社会と背中合わせです。  

 その悩みを克服しようと今生まれているのが、リサイクルを一歩進めた「アップサイクル」という考え方です。モノを再資源化するだけでなく、付加価値を持たせるというものです。  

 この考え方でベンチャー企業「日本環境設計」が目をつけたのは、国内で年に100万トンも捨てられているという不要衣料です。小売店で古着を回収し、綿はバイオ燃料に、ポリエステルは高純度のポリエステルに再生します。品質を落とさずに、混紡でも処理できる同社の技術力が評価されています。  

 江戸の知恵を21世紀に生かす、日本発の挑戦です。 


#アップサイクル #使い倒す #モノが売れない

 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000