高みを見るとき足元の落とし穴に気をつける

  古代ギリシャの賢人で、哲学の祖ともされるタレスには、クスっと笑える〝失敗談〟があります。タレスが空を見上げて星の運行を考えている最中に、うっかり穴に落ちてしまったのです。  

 それを見た召使は、失笑しました。

 「ご主人さまは熱心に天のことを知ろうとなさいますが、ご自身の目の前のことや足元のことにはお気づきにならないのですね」  

 こうした話は、身の周りに溢れています。それぞれ高みにある〝理想〟を見上げるのは結構なことですが、身近で現実的な問題を疎かにしていると穴に落ちてしまう恐れがあります。  

 プラトンは、対話編「テアイテトス」でソクラテスが知を追い求める人への戒めのようにこの挿話を語るのを書き残しています。

 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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