差別意識に満ちた「帰れ!」コールが世界中で蔓延

 さて、〝帰れコール〟――。  

 かつて、血気さかんな学生運動などのデモ隊が「帰れ!」「帰れ!」と機動隊に罵声を浴びせかけていました。スポーツの試合でも、どうかするとファンの「帰れ」コールが巻き起こっていました。人は興奮すると、目の前の快く思わないものにこの言葉を投げつけるようです。  

 米国では今、トランプ大統領が民主党の非白人女性議員に対して「帰れ」コールをやっています。たとえばソマリア生まれの議員らの名前を挙げ、支持者を前に「もともといた国に帰ったらどうか」などと連発したのです。  

 トランプ大統領のこの手の言動に慣れっこになってしまった米社会ですが、さすがに今回は下院が非難決議を採択するなど反応が厳しいようです。  

 もっとも、大統領はそのくらい織り込み済みでしょう。次期大統領選を見据えてあえて支持者をあおり、再選への足固めをしたいようです。会場は熱狂した人々による「センド・ハー・バック(彼女を送り返せ)」の大合唱に包まれたといいます。  

 かくも差別意識に満ちた「帰れ!」コールは、まさに〝異様〟です。憎悪を募らせる為政者と、それに呼応する普通の人々の熱狂は米国だけの問題ではあいでしょう。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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