時空を超える力は侮れない
今から50年前、立命館大の学生だった高野悦子さんが自ら命を絶ちました。没後に刊行された手記「二十歳の原点」は1970年代に広く読まれ、ロングセラーとなっています。
今、読み返してみると、彼女は生硬な言葉で自身を追いつめています。学生運動の渦のなかで消耗し、恋に苦しみ、救いを読書や学習に求めていました。
揚げ句、こう書いています。
「私の敵は独占資本だ」
「自らのブルジョア性に向けて叫んだ」
時代の残酷さを思うと彼女の切なさが胸を打ち、読者をとらえたのでしょう。
最近、この手記をもとにした「コミック版 二十歳の原点」が刊行されました。現代の女子大生が1969年にタイムスリップし、当時の若者たちに触発されていく内容になっています。
すっかり過去になった物語が、不意に甦るから不思議な感じがします。これも、時空を超える力によるものでしょう。
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