若者は魔物に捕まりやすい

 1年半前、神奈川県座間市にアパート内で15歳、17歳、17歳、19歳、20歳、21歳、23歳、25歳、26歳の9人の遺体が見つかりました。みんな若く、たくさんの夢があったはずです。そのくせ不安で多感で、傷つきやすい年齢です。そんな青春が、犯人によって残酷に奪われました。  

 犯人は、すでに全員の殺害を供述しているといいます。しかし、なお謎が多く、闇は一向に晴れません。わずか2カ月のうちに、みんなが吸い寄せられるように犯人のもとへ向かっています。  

 被害者の多くは自殺願望を抱いていたとされていますが、背景はそれだけだったのでしょうか?   この事件で登場した〝魔物〟の正体は、いったい何だったのでしょうか?  

 伝えられる犯人の供述は、冗舌なほどだといいます。細部も浮かんできていますが、本当のことがどれだけわかったのでしょうか?  

 今の世の中は性急に、目に見える犯行の〝温床〟を突きつめたがります。 

「野放しのツイッターが悪い」 

「自殺サイトの規制を」  

 苛立ちはもっともですが、そう簡単に答えを見つけるのは禁物です。  

 この事件を耳にして、過去の様々な若者に関わる悲劇を思い出す人も少なくないでしょう。オウム真理教の手に落ちた若者たち、連合赤軍の山岳ベースで狂気に染まっていった若者などです。  

 今回の事件と中身はまるで違うのに、若者の孤独だけが重なって見えます。社会は、今回もまた若者の孤立を救えませんでした。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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