市場の始まり

 さて、虹の立つ場所――。  

 古代から中世にかけて、日本では虹が立った場所には「市」を立てろと言われていました。たとえば平安時代の史書は、長元3年(1030年)7月に関白・藤原頼通の家に虹が立ったので世俗の説に従って売買を行ったと記されています。  

 史家によると、虹の立つ場所は神々が降りてくる天界と俗界の境界で、聖なる交易の場所とみなされていました。交換や売買は神々をよろこばす非日常的神事であり、月に何度か日を定めて開かれる定期市も同じような性格を帯びていたといいます。  

「虹の市」の記録も、四日市、五日市など今に残る地名も、「市」が特別な時に開かれる聖なる場所だった時代の名残です。  

 たぶん、アマゾンも虹の立つ場所からスタートとしたのでしょう。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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