花粉症の人にはエアー花見がお勧め

 さて、エア花見――。  

 豊臣秀吉は朝鮮侵攻がうまく行かない鬱憤を豪勢な宴で紛らわしたかったのか、死の5か月ほど前に「醍醐の花見」を催しています。京都の醍醐寺の境内に700本もの桜を植え、諸大名に凝った建物を用意させました。女房衆1300人には、2度の着替えも命じています。  

 叩き上げで天下をとった秀吉は、この宴に大いに満足したことでしょう。しかし、その後の一族の運命を知っているだけに、栄枯盛衰の見本のようで寂しく映ります。  

 翻って今の上野公園に赴き、無数の花びらが風に舞うさまを眺めていると、日の高いうちからビールや酎ハイの缶を傾ける大学生らの傍らに場所取りを任されスマホに見入るスーツ姿の背中がありました。   

 花見は春の農作業に先立って、大勢で山に入り1日を暮らしたのがルーツだとされています。豊作をもたらす山の神への信仰で、そうした習わしの形は様々に変えて現代にも受け継がれているようです。最近では、室内で花の映像を見る〝エア花見〟も流行っているといいます。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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