AIへの警戒心を先取りした映画「2001年宇宙の旅」

 スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」が公開されたのは、半世紀前の1968年4月のことでした。タイトルにも盛り込まれた年代の設定は、21世紀がまだ遠かった時代感覚を伺わせます。それを除くと、今でも鮮烈な魅力を放つSF映画の傑作です。

  SFらしいアイデアと映像が印象的なのは、宇宙船「ディスカバリー」号が木星へ向かうところでしょう。たとえば宇宙船を制御するコンピューターが異常をきたして乗員たちを「排除」しようとし、逆に乗員の手作業で機能を止めるエピソードです。近年、高まってきたAI(人工知能)への警戒感を先取りしていました。   

 木星への有人飛行が実現する見通しは、今のところ開けていません。ただ、1973年に木星から20万キロ以内にまで接近したパイオニア10号を皮切りに、米航空宇宙局(NASA)が無人機による探査を繰り返してきました。1995年にガリレオが初めて周回軌道に入ったのに続き、2016年からはジュノーがまわりを回っています。 

 NASAは最近、ジュノーから送られてきた新しい画像を公開しています。巨大な木星の表面をいくつもの雲の渦が覆って、気味悪ささえ感じるほどに不思議な模様を織りなしています。ヒトの想像力を超える神秘が、まだまだ宇宙にはたくさんあります。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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