老若男女が生きる目的を喪失しているニッポン

 今年6月に起きた新幹線殺傷事件の小島一朗容疑者(22歳)の半生を振り返ると、浮かび上がってくるのは彼の自殺願望と生きる目的の喪失です。  

 それで、彼が起こした無差別殺人は自殺願望の裏返しだったとも考えられます。見ず知らずの人を見境なく傷つけた行為は社会に対して見捨てられたという反発を持つ一方で、誰にも気がつかれずに独りで死ぬのは嫌だという孤独感の強い現れです。  

 だから、彼は無理心中のように他人を巻き込み、自殺しようとしたわけです。  

 その根源にある「生きる目的の喪失」は、現代日本が抱える大きな問題です。誰かの役に立っているという実感が得づらい現代は、人間にとって生きる目的が見つかりづらい時代でもあります。家庭内でも職場でも仲間内でも必要とされず、孤独感をつのらせた結果、自ら死を選ぶ若者が少なくありません。  

 小島容疑者も、そんな若者の1人だったといえるでしょう。  

 日本人の気質は今、かつてと比べると大きく変化しています。これは若者だけでなく、中高年にも言えることです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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