ソフトバンクの孫正義社長の頭の中

 ソフトバンクの孫正義社長には、独特の経営術がある。それは、常識的な経営という観点からは大きく外れている。たとえば担当社員に100パターンも考えさせる事業計画、孫子の兵法で攻め立てる交渉術、巧みな事業の舵取りなど。事業計画にしても、担当者が事業を取り巻く環境をロジカルに分析して戦略を立てても、孫社長は簡単には採用しないという。  

 だが、新規事業に挑戦するときには大胆不敵の本領発揮。ADSL事業「Yahoo! BB」は当時、採算の見通しが不確実で、市場を分析するかぎり新規参入は無謀と思われていた。それが今では、同社の中核事業にまで育っている。  

 孫社長は、「デジタル情報革命を通じて人類と社会に貢献したい」というビジョンを持っている。それをベースに市場分析よりも自分の意思や感覚を重視。あえて担当者を困難な状況に追い込み、それまでの経営的なバランスを大胆に組み替えながら事業拡大での均衡へと導いていくのだ。そうした姿勢こそ、まさにスピリチュアルな感覚をともなった経営術の体現というもの。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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