外人が増えた大相撲の「文化摩擦」

 大相撲は今、日馬富士の「暴行事件」で騒々しいところがあります。

 元大関の小錦八十吉さんは、ハワイ出身です。

 1997年11月、現役最後の場所となった九州場所の13日目で負け越しが決定しました。  

 小錦さんの自伝『はだかの小錦』を読むと、彼は負け越しが決まっても千秋楽まで土俵に上がるつもりでした。それを見てもらいたいので、ハワイに住んでいる家族も日本に呼び寄せました。  

 ところが、その思いは日本相撲協会によって断念させられました。同協会の鏡川理事長は当時、小錦さんの引退についてこう語っています。 

「死に体の者を土俵に上げるわけにはいかない。咲くも花なら散るのも花だ」  

 一方、小錦さんは自伝でこう明かしています。 

「帰化して日本人になったんだから、ボクも桜の花にたとえてもいいんだけど、やっぱり桜よりも故郷のハワイの海の方が忘れがたい。(中略)この波のように、ボクも思いきり岸に打ち寄せ、みごとに砕け散ろうと思った。小錦らしさにあふれた相撲を取って。そしてボクは散った」  

 彼は現役力士として最後の健康なエゴイズムを発揮したかったはずですがが、日本相撲協会の意向によって阻まれてしまいました。  

 それでも置かれた立場にめげることもなく、タレントとして新しい道を切り拓いています。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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