カルチャーショック(海外留学)で味わった挫折

 14年8月、日本初の全寮制インターナショナル高校「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)」が軽井沢で開校しています。  

 ISAKは世界中から募集した生徒が寮生活を送り、授業はすべて英語。前例がないだけに、設立の難しさは格別です。  

 ノンフィクション『茶色のシマウマ、世界を変える』(ダイヤモンド社)を読むと、その苦労が描かれています。同校の設立に奔走した中心人物は、東大卒の小林りん氏。  

 彼女は、外資系企業や国連機関を渡り歩いたエリート。米国で、修士号も取得しています。  

 学校づくりに繋がる原体験は、数十か国から高校生が集まるカナダの全寮制高校で味わった挫折だったといいます。  

 それは、自分が異質だと感じていた日本の高校を中退後、奨学金を得て留学したカナダの全寮制の高校生活で自信があった英語がまったく通用しなかったこと。  

 カフェテリアではクラスメートの会話にも加われず、苦痛の時間だったそうです。自分を日本の枠に収まらない国際人と自負していたのに、海外へ出たことで逆に日本人であることを痛感させられたのです。  

 アイデンティティーの危機に陥り、帰国して東大を目指します。見事に合格を果たした東大ではスラム経済を学び、卒業後は外資系企業を経てユニセフでフィリピンの貧困層教育に取り組んでいます。  

 その後もアイデンティティーを模索しながら必死にもがき、紆余曲折を経て日本初の全寮制国際高校をつくるという夢にたどり着いています。  

 その夢を語るだけでなく、具体的なデータに基づいた計画を理路整然と示しながら立ち塞がる壁を持ち前の対人能力で乗り越えていくのです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000