底知れない絶望の実態

 少年が殺人や放火、強姦などの重大刑事事件を起こすと、その尻拭いが保護者に降りかかってきます。  

 西鉄バスジャック事件(2000年)を起こした少年の両親にも、被害者やその遺族への損害賠償や慰謝料の支払いという経済的な問題が重くのしかかっていました。  

 逮捕された少年が少年鑑別所に収容されていたころ、母親(当時46)はメモ帳に日記をつづっていました。  

「絶望」というタイトルでは、こう記しています。


 <悲しみに底知れない深さがあるとは思わなかった。悲しみに色があるとは思わなかった。思いもよらぬ出来事ですべてのものが壊れていく。もうこれ以上壊れるものはないのにと、私の心は叫んでいる。無くすものがもう何もないって何だろう。人の目におびえ、人の声におののき、人の心を信じられないもう一人の私。自分の心にうそをつき、みじめな自分に出会っていく。こわさと逃げがとなり合わせ>  


 絶望とは、まさに、そうした八方塞がりの状況に追い込まれることです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000