知恵が結集した「雪菜」

  山形県米沢市の上長井地区で栽培されている伝統的な作物に「雪菜」(ゆきな)があります。  雪菜は、夏の終わりに種をまくと11月には青々とした葉が茂ります。  

  そこまでなら、普通の野菜となんら変わりがありません。

 ところが「若菜」は、いったん掘り出したカブを束ね、畑の上に密集して並べたあと周囲を新聞紙で囲う「床寄せ」を施し、雪が降ってくるのを待ちます。  

 その後、厚い雪に覆われると、みずからのカブや葉を養分として新たに花茎を伸ばしてくるのです。  

 背丈近くまで雪が降り積もる冬の間、人々は新鮮な野菜を食べるために「雪菜」を生み出したというわけです。  

 生の「雪菜」は、サクッとした歯ごたえで、ほのかに苦みがあります。   

 それを湯通ししたあと水洗いをして塩漬けにすると、数日後、辛味が出てきます。「雪菜」には、さまざまな知恵が結集しているのです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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