バカを極めれば天才

  漫画家の赤塚不二夫氏はギャグ漫画の天才で、たくさんの作品を描き残しています。なかでも『天才バカボン』は、最高峰とも言える秀逸な作品。その中で、「バカ田大学」を入学も卒業も日本一難しい難関校として描いています。  

 本郷の東大山上会館で、赤塚の生誕80周年を記念した連続公開講座(15年12月~翌16年3月)が開かれています。 

「赤塚不二夫生誕80周年企画『バカ田大学』」と題された講座の講師陣は、CGアーティストで東大大学院の河口洋一郎教授や「顔学」で知られる原島博東大名誉教授、イラストレーターでアートディレクターの安齋肇氏など多彩。  

 講座では赤塚氏が追究した「バカとは何か」について、講師陣がそれぞれの専門分野から解き明かしています。  

 赤塚氏は生前、バカについてこう書き記しています。 

「ただバカっつったって、ホントのバカじゃダメなんだからな。知性とパイオニア精神にあふれたバカになんなきゃいけないの。リッパなバカになるのは大変なんだ。だから、バカになる自信がなかったら、ごく普通のリコウな人でいたほうがいい」  

 そこには、何かで心を武装するということが「バカ」というキーワードを通して凝縮されています。  

 河口教授は、講座を終えたあとこう扇動しています。 

「我を忘れた没頭がバカ、極めれば天才です。やるなら徹底的でなきゃ」   

 原島名誉教授は、こう振り返っています。

「世の中、お利口さんばかりでは退屈です。予想不能な10%のバカがいてこそ、世界は創造的で楽しいのです」  

 河口教授や原島名誉教授が言いたいことは、何かで心を武装するということにも相通じるものがあります。  

 とくに事業イノベーションでは、何かで心を武装した茶色のシマウマが徹底的にバカをやり通すことで新しい商品やサービスが生まれてくるのです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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