自由とは何か?

 葛飾北斎――。

 江戸時代の浮世絵の巨匠。生涯で3万点以上もの作品を描き、代表作のほとんどを円熟期に創作しています。

 還暦を迎えるころ江戸で圧倒的な人気を博していましたが、その程度の成功では満足できず、より一層の新境地を求めたのがなんと70代。

 そのころの発言が、記録として残っています。

 「70歳以前に描いたものは、実に取るに足らぬものばかりである」 

 飽くなき向上心です。

 それで今、大正生まれの篠田桃紅さんの本『一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い』(幻冬舎)が売れています。  篠田さんは、1913年に生まれ。数えで103歳になる今も、毛筆と墨で作品に向かう現役の美術家です。

 人生という歳月を経てたどり着いた境地は「老成」とか「悟り」とは程遠いもので、こんな感じです。

「生きている限り、前とは別のものができる。この歳になってできることはある。昨日と今日は違うんですから。(中略)私は決まりの通りにすることが性に合わなかったから、わがままだと言われてきた」

 この「わがまま」が大事なポイントで、歳を取ることは「クリエイトすること」と言い切っています。

「いい歳の取り方を作れたらなあと思うときもあります。お手本がないんだから自分で考え出さなければならない。作品を作るより大変です。(中略)人として何が完成形なのか、わかりません。この辺かなと思ってたどり着いても、また先がみえます」

 なんという若々しさ。

 ちなみに24歳で家を出て以来、ずっと一人暮らしだといいます。  


八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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