ネットでの承認欲求とイジメ

 SNSを介したバーチャルな人間関係は、断片的な情報を拠りどころに期待されるキャラの演じ合っています。そこで得られる「承認」なんて、その程度のものです。

 だから、何らかの目的があると人間関係は安定しやすく、承認も得やすくなります。

 だが、ひとたびグループ内の仲間同士の分断化が進むと、メンバーのだれかがターゲットにされた「イジメ」が起こることもあります。

 そうした状況下では、イジメに遭っている人も、イジメている人も内心では大いに不安を抱えています。

 とくにイジメる側に回っている人が気にかけているのは、他のメンバーの反応。そこに被害者のことを思いやる姿勢などなく、他のメンバーに承認されることに必死なのです。

 そしてイジメがエスカレートしていくのは、被害者への攻撃衝動ではなく加害者側の陳腐な承認競争に過ぎません。

 それは道徳意や規範識がないからではなく、まさに何の生産性もない集団的な自傷行為のようなものです。

 グループ内にかぎるなら、むしろグループ内の独善的な規範意識は高まっています。

 そして、そうした規範意識から少しでも外れた人がイジメのターゲットになるのです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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