LINEは承認欲求を推し量る道具

 LINEの「既読」表示――。

 それは東日本大震災時の経験から、受信者が返事できない状況でもメッセージを読んだことを送信者がわかるようにするため考案された機能です。

 ところが、若者の多くは「既読」表示があるので直ぐに返信しないと相手に悪いと思って不安を覚えるようです。

 つまり、LINEの利用者はバーチャルに「繋がっている」こと自体を確認しないと不安になるのです。

 ネットの広まりで、そうした人間関係の流動化が始まっています。それで生まれてきたのが、まさに不安定さをともなった「軽やかな人間関係」です。

 軽やかな人間関係は、たやすく壊れやすいという特徴があります。

 それは、人間関係をリアルに保証してくれるものではありません。相手を簡単に「仲間から外す」という自由は、もちろん自分だけではなく相手にもあるからです。

 ザックリ言うと、おたがいに「仲間」であるという根拠は「そうあってほしい」という儚い思いの共有にしか過ぎないのです。

 だから、それを常に確認していないと不安でたまらないのです。

 それは、言い換えると自己承認を確認し続けていくしかないということ。

 そのためのツールがLINEで、少しでも安定した自己承認を得るための防衛策として駆使しているのです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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