雑誌離れが止まらない

 女性ファッション誌が、見えてこない新たな読者を探し求めて苦闘しています。女性の生き方や価値観が多様化し、ネットの普及で雑誌情報に頼らない女性が増えているからです。

 若い世代の雑誌離れが進む中、部数低迷で編集長交代や休刊に追い込まれる雑誌も。まさに女性ファッション誌は今、氷河期を迎えているのです。

 女性ファッション誌の歴史は、1970年代の『an・an』(現マガジンハウス)と『JJ』(光文社)の創刊から始まりました。

  前者は個性を主張する服装で自立したキャリアを、後者はお嬢様的な服装を通じて玉の輿婚による裕福な主婦になる生き方を提案しました。

 80年代まで、後発誌も含めて2陣営の対立を軸に展開していきます。ところが90年代になると働く女性が増え、生き方が多様化していきます。

 そうした流れの中で「an・an」は総合情報誌に変身、「JJ」は「新歓コンパで先輩に嫌われない服」など女子大生に「制服」を提案し続けました。

 しかし、集団の同質性が崩れる中で女性ファッション誌の存在意義も薄れてきたのです。

 00年代以降、女性ファッション誌を席巻したのは「sweet」など宝島社が主導した「大人かわいい」路線でした。30代以上が表紙を飾り、「40代女子」なる言葉も生まれています。

 ただ、 今や市場の中心は雑誌を買う習慣がある35歳以上にかぎられてきた感じです。

 女性誌は未来に向けた生き方の提示より、「女子」「美魔女」というマジックワードで彼女たちの現在を肯定する機能を担っています。 

 一方、若者の雑誌離れは止まる気配さえありません。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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