何も挑戦しないと、望んでもいない人生のリスクが高まる

失敗という選択肢はない――。 

 NASAでは、宇宙開発の重みと厳しさを表す言葉として今でもよく使われています。 

 反対に、こういう言葉もあります。

 「リスキーな選択こそ、もっとも安全な道」――。

  アメリカの人気歌手テイラー・スウィフトさんの言葉です。

  宇宙ベンチャー企業のスペースX社は、打ち上げたロケットの海上回収に成功。同社の共同設立者でCEOのイーロン・マスクさんは、電気自動車を開発、販売しているベンチャー企業テスラモーターズの会長兼CEOでもあります。 

 マスクさんは、ロイター通信のインタビューでこう語っています。 

「『失敗という選択肢はない』というバカバカしい考え方がNASAにはあるようだが、スペースXでは失敗は選択肢の一つだ。何も失敗していないとすれば、十分にイノベーションを起こしていない証拠だ」

  従来のロケットは、使い捨て。マスク氏さんは、ロケットを回収することで打ち上げ費用を100分の1にすることを目指しています。スペースX社は、打ち上げたロケットの海上回収に初めて成功するまで4度も失敗しています。

  マスクさんは、NASAで使われている「失敗という選択肢はない」という言葉の本質を理解していないわけではありません。

  ロケットの打ち上げや原発の稼働など巨大システムの運用では、もちろん人命第一という安全性の重視が欠かせないことをわかった上で言っているのです。 

 その文脈で、スペースX社のような「失敗は選択肢の一つ」という観点からの挑戦も安全性を確保するための技術の進歩を考えると欠かせないということです。 

 そうしたイノベーションを起こすための失敗を積み重ねることによって、最も大切な安全性も確保できるようになるのです。 

 だから、NASAが唱えていることも、マスク氏が主張していることも、最終的な目的である安全性の確保のためということでは一緒なのです。 

 あなたは最近、何か失敗が想定されるようなことに挑戦していますか? 

 むろん、何かに挑戦をしないと何らかの成果など得られるはずもありません。 

 何も挑戦しないということは、長い目で見るとリアルで充実した人生を送ることができないという最大の失敗への道を突き進んでいるのです。

  ところが、こんな思いの人が少なくありません。 

「今の仕事で手一杯で、そんな余裕もありません。何かに挑戦して、失敗するわけにもいきません。現状を維持するには、今の仕事の延長線上でやるしかないのです」 

 本当に、そうなのでしょうか?

 「失敗という選択肢はない。だから新しい挑戦なんてできない」  

 そうした考え方は、マスク氏のように何かに挑戦し続けている人が言ってこそ人に訴える言葉です。 

 何も挑戦もしないで言い訳ばかりしている人は、いつまで経っても望んでもいない人生を過ごすことになるリスクが高まっているということです。   

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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