サクセスストーリーの本質

 童話に登場するシンデレラは、日ごろ継母や義姉たちに意地悪をされていました。

  しかし、ただ耐えていたわけではありません。むしろ、どんな境遇にあっても挫けることなく、心に夢を抱いて前に向かって進んで行く力強さがありました。

 ある日、魔法使いの老婆がシンデレラの前に現れます。

  老婆はシンデレラの夢を叶えるため魔法の力でネズミを白馬に、カボチャを馬車に、トカゲやガチョウを御者に、シンデレラの破れた服を美しいドレスに変身させました。

 それでシンデレラは、老婆がくれたガラスの靴を履いて夢にまで見た王子さまに会うためにお城で開かれる舞踏会に出かけていきます。

 ただ、老婆にはこう告げられていました。

「魔法は夜中の12時には解けてしまうから」

 それが頭にあったシンデレラは、12時の鐘の音が鳴り始めると慌てて舞踏会場を抜け出し、階段を駆け下りて馬車へと向かいます。

  途中、ガラスの靴の片方が脱げてしまいました。そのまま靴を残して馬車に乗り込み、急いでお城を後にします。

  そして鐘の音が鳴り終わると魔法がすべて解け、白馬がネズミに、馬車がカボチャに、御者がトカゲやガチョウに、ドレスが破れた服に戻ってしまったのです。

 シンデレラは、こう感じていました。 

「このまま夢で終わってしまうのかしら?」

  それでも、一筋の光が差し込んでくることを信じていました。

 その光が、やがて差し込みます。

 なんと、王子さまがガラスの靴の持ち主を探し始めたのです。そしてガラスの靴がシンデレラの足にピタリと収まり、彼女は王子さまとめでたく結ばれることになりました。 

 まさに、ステレオタイプなハッピーエンドの物語――。

 実は、そうではありません。

 この童話で語られているのは夢や目標を思い描く力、諦めない意志の力、信じる力といったサクセスストリーの本質なのです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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