能力の低い人ほど自分を過大評価する

 リオオリンピックが開催されていた夏、こうした声を聴いた人も少なくないはず。 

「メダリストに夢をもらいました」

 「夢を諦めずに頑張れば、必ず叶うことを知りました」

 ちょっと待ってくれと。

  メダリストに自分を投影し、夢を諦めずに追求すれば必ず叶うと連想するとしたら、それは単なる幻想に終わることが少なくないはず。なぜなら、そこには何の根拠もないから。

  オリンピックのメダリストは少数で、オリンピックに参加したアスリートのだれもがメダリストに成れるわけではありません。

  実際には、最後まで夢を諦めなかったのにメダリストに成れなかった無数の敗者がいるのです。そこを履き違えては、何も学んでいないということ。

 臨床心理学者の榎本博明氏は、著書『薄っぺらいのに自信満々な人』(日本経済新聞出版社)の中で、こう指摘しています。 

「能力の低い人ほど自分を過大評価しやすい」 

 自信過剰の人は、やたらと自己アピールをしたがります。 

 そうした姿勢を取らざるを得ないのは、能力のなさを押し隠すために虚勢を張っているのかもしれません。

  一生懸命さが空回り――。

 自信家の多くが、「ひょっとして自分のことかも」と思い当たるところがあるはず。

  榎本氏によると、概して「能力が低い人」にかぎって自分の能力を実際以上に過信しがちな傾向が見られるといいます。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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