壊れかけた〝ギャフマシン〟が動き出した


 英語で「失言」は、ギャフ(gaffe)といいます。

 米国のバイデン新大統領は、かつて〝ギャフマシン(失言機械)〟と呼ばれていた時期があります。

 黒人と中南米系移民の集会に出て、人種差別を否定するつもりの言葉が参加者の「怒り」を買ったことがあるのです。

「貧しい家の子どもたちも白人の子どもたちと同じくらい賢く、才能がある」

 白人優位の意識が明らかに滲み出た言葉で、参加者だけでなく世論の厳しい批判を浴びたのはいうまでもありません。

 その失言癖が躓きの石となる恐れは、高齢ですので杞憂に終わるとは断言できないでしょう。

 一方、森喜朗元首相は日本を代表する〝ギャフマシン〟で、首相在任当時も数々の失言で支持率を低落させています。

 晩年では、東京五輪組織委員会の会長である森元首相が、会議の席上で述べた発言が波紋を広げています。

「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」

 さらに、「女性は競争意識が高い、誰か一人が言うとみんな発言する」と決めつけています。

 加えて発言時間規制の話まで持ち出し、女性の意見軽視を露わにしています。

 まさに「語るに落ちる」という言葉がピッタリの本心の吐露は、先のバイデン新大統領の過去の失言と同根です。

 森会長は、オリンピズム(五輪精神)を体現すべき組織委委員会のトップです。そして人種、性別、性的指向などの差別を許さないのは、今の世界の五輪運動の中核をなす価値観です。

 その点からも、性差別の言辞は東京五輪そのものに泥を塗る所業そのものなのです。

 先日、森会長は自身の発言が五輪精神に反すると謝罪して撤回しています。しかし、その上で会長辞任を否定しています。

 バイデン新大統領は多様な人種や女性を新政権に大量登用して過去の失言をリカバーしていますが、森会長は続投して何をするつもりなのでしょう。

 まさに、残念ながら壊れかけた〝ギャフマシン〟のスイッチが入って動き始めたといった感じです。

 一方、橋本新会長の下、組織の開会は粛々と進んでいるようです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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