いつ天秤の均が崩れてもおかしくない


 巨大な天秤の片方の皿に森林、動物など地球上の「全生物」を載せ、もう一方には道路やビル、飛行機から服まで人間がこれまでに作った「全人工物」を載せます。

 イスラエルの研究チームは、「昨年末あたりに人工物が生物と並び、追い抜いたかもしれない」という試算をまとめています。

 両者の総重量を産業、環境などに関する文献や論文を用いて推定したといいます。

 これによると、20世紀初頭の人工物量は生物量のわずか3%でした。しかし、第2次大戦後からは都市開発などでコンクリート、アスファルトが急増し、近年はプラスチックの増加が止まらないというのです。

 その増加量のペースも、加速しているといいます。

 地球上の人類全員が毎週自分の体重以上の「物」を生み出している計算で、このままだと2040年までに総量が今の2倍に達する見通しだといいます。

 物に囲まれた生活を見回すと納得もできますが、とてつもない規模の話です。

 海に流れ出た大量のプラごみの問題一つを見ても人間の活動が100年余りでいかに拡大し、自然環境に負荷を与えてきたかがわかります。

 研究チームは、こう指摘しています。

「世界は今、一生に一度どころか一時代に一度の重大な局面にある」

 天秤の均衡は、いつ崩れてもおかしくない状況を迎えているのです。

 それにしても、この星は100年後、どんな姿をしているのでしょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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