絶えず大ガマガエルの目覚めを意識する


「日本伝説集」に、こういう話があります。

 ある男が、比叡山に登ったとき山中で大きな岩を見つけます。その上によじ登り、寝転んでタバコを吸っていると突然大きな地震に見舞われます。

 慌てて岩から降り、よじ登っていた岩をよく見ると大ガマカエルだったのです。

 タバコの火が背中に落ちて大ガマカエルを目覚めさせたのかと仰天し、不気味な大ガマガエルと目が合った気分になるという伝説です。

 2月13日深夜、宮城県と福島県で震度6強を記録する大きな地震が襲っています。東京でも震度4で、長く続いた揺れに布団の上で肝を冷やした人もいるでしょう。

 同時に、10年前の東日本大震災を嫌でも思い出したはずです。

 今回の地震が東日本大震災の余震とみられると聞き、改めて驚きます。10年前の地震が、今なおマグニチュード7を超える規模の余震となって現れるのです。

 人は、大ガマガエルの上で暮らしているようなものかもしれません。

 大ガマガエルは、いったん眠りについたとしても生きています。いつ何時、どんな拍子で背中を揺らすかもしれないのです。

 非力な人は、室町の画僧如拙の「瓢鮎図」を思い浮かべるても小さな瓢箪でヌルヌルしたナマズを押さえ込むことさえできないのです。 

 できるのは絶えず大ガマガエル(地震)を意識し、備えることです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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