デブカワイイのブームは続くのか

 ポッチャリさん――。

  最近、女性ファッション市場では規格外サイズの「ポッチャリさん」に注目が集まっているといいます。

  ポッチャリさん向けのセレクトショップも次々とオープンし、それに特化したファッション雑誌も創刊され、ファッションショーやモデルオーディションまで開かれるほどの賑わいぶりです。

  これまでポッチャリさんは、スリムな女性に対して何かと劣等感や嫉妬心を抱いているところがありました。ファッションショーでも「日陰の身」で、モデルが歩く花道であるランウェイの主役ではなかったのです。  

 それが今、周りの評価が大きく変わり、肉体的な劣等感や嫉妬心から解放されて注目すべき個性へと変貌を遂げ始めているのです。

 デブカワイイ――。

  かつて日本では、太っていることが富の象徴という時代がありました。そうした時代には、痩せた女性は経済的に貧しいといった認識が一般的だったといいます。

 要するに、食べるものにも事欠く「貧乏人」というあつかいだったのです。

  たとえば平安時代――。  

 ふっくらとした女性が美人とされ、着物を着るにしても次のような女性が美しいとされていたのです。  

 短い足、くびれのない胴、大きな顔――。 

 ところが、明治維新が終わって大正時代を迎えると「美人」の基準が大きく様変わりしていきます。西洋から洋服が入ってきたことによって、それが似合うスリムな女性が美しいという風潮が生まれてきたのです。

  そして今、女性誌を中心としたメディアが痩せることを推奨し、それを煽るようなダイエット法を競って紹介しています。

  ポッチャリさんが注目される個性へと変貌を遂げているといっても、若い女性のスレンダー志向は相変わらず健在のようです。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000