老齢とは対立に橋をかける大いなる知恵の源泉でもある

 


 77歳で退任したレーガン元大統領は在任、会議でよく居眠りをしたといいいます。そんなレーガン元大統領にまつわるジョークがあります。

 退任間近のレーガン大統領(当時)は「早くわが家に戻りたいよ。椅子の背にもたれ、足を机上にのせ、長い昼寝をするんだ」と言った後、「でもよく考えると、今とあまり変わりないか」と言い放ったというジョークです。

 グレートコミュニケーターと呼ばれたレーガン元大統領は、そんな自分をジョークのネタにしたのです。

 先日、就任したバイデン新大統領は、レーガン元大統領の在任高齢記録をさらに1歳上回ります。

 それまでの就任時の最高齢大統領は、前任のトランプ元大統領の70歳です。ただ、トランプ元大統領は再選を阻まれ、レーガン元大統領の高齢在任記録を抜くことができませんでした。

 バイデン新大統領は、トランプ元大統領の4年間の施政が分断した「米国」の癒やしと再統合を使命としています。

「この国を一つにすることに私の全霊を注ぐ」

 バイデン新大統領は、就任演説で40万人を超す国内のコロナ感染死者への黙とうを呼びかけています。

 さらに優しい言葉で歯切れ良く、こう訴えています。

「私に投票しなかった人も含め、すべての国民のために闘う」

 さっそく着手したのが、温暖化対策のパリ協定への復帰や世界保健機関(WHO)脱退撤回など国際協調への復帰です。

 また移民の規制など、前任のトランプ氏が米国にかけた憎悪と偏見の呪いを解く政策転換に次々に署名をしています。

 レーガン元大統領のユーモアが示すように、老いは偉大なコミュニケーターであることの妨げにはなりません。

 老齢とは衰えのことでなく、対立に橋をかける大いなる知恵の源泉でもあるのです。

 バイデン新大統領には、そのことを示してほしいものです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000