声を読む


 相原瑛人さんの漫画「ニューノーマル」は、主人公の独白から始まります。

「僕たちが生まれる少し前、ひとつの感染症が世界を変えた」

 この漫画は、マスク着用が義務化されて服飾文化となっている近未来社会での学校生活が描かれています。

 実際、コロナ禍でのマスクの売り上げは、調査会社「インテージ」によると昨年1~10月に前年の4倍に膨れ上がっています。

 逆に、売り上げが半減したのは口紅だといいます。理由は、口元が覆われてしまうためのようです。

 存在感を増したマスクですが、そのせいで日常会話に支障を来している人もいます。それは、対話相手が手話を使えない場合などに口の動きから「声」を読み取る聴覚障害者たちです。

 マスクで口が遮られ、相手の声が見えないというのです。

 東京都国立市の「スターバックスコーヒーnonowa国立店」では、聴覚障害のあるスタッフが聴者とともに働いています。それで聴覚障害者は意思疎通が円滑になるよう透明のマスクを着けています。

 注文を受ける聴覚障害者の口元に笑みが浮かぶのを見た顧客は、きっと何かに気づくでしょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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