座間事件の被害者9人は不安と孤独のなかに放り出されていた


 神奈川県座間市で2017年、自殺願望だったとされる男女9人が殺害された事件で裁判員裁判が出した結論は被告に死刑というものです。

 この事件は、別の視点から見ると隠れた部分が照射されます。

 裁判の過程では、次のような事実が明らかになっています。

 たとえば被害者の女性Aさんは中学時代にイジメで不登校になり、高校2年で退学しています。その後、実家で引きこもり生活を続けています。

 そして同年4月から、コンビニでアルバイトを始めています。殺害時の所持金は、数百円でした。

 被害者の女性Bさんは中学で不登校になり、高校1年で退学しています。母親と2人暮らしでしたが、母親は同年6月に死亡しています。

 その後、生活保護を受給し、一人暮らしを始めています。こちらも、殺害時の所持金は数百円でした。

 被害者の女性Cさんは、事件前に2度目の離婚をしています。元夫との間に長女がいましたが、出産後は精神科に通っています。

 事件当時は訪問看護のサポートを受け、1人暮らしでした。

 被害者9人のうち、数万円の所持金があったのは2人のみです。あとは4人が数千円、3人が数百円となっています。

 それぞれ会員制交流サイト(SNS)に「死にたい」とつぶやいたことなどから被告と繋がり、事件に巻き込まれていったのです。

 それにしてもイジメや不登校、退学、引きこもり、生活保護などと過酷な社会に押し潰されそう用語がついている人たちです。

 この9人は、不安と孤独のなかに放り出されていたのでしょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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