リーダーは「進むを知り、退くを知る」ことが大事


 勝負の世界では、「進むことを知り、退くことを知る」ことが重要だといいます。

 相撲の立行司である木村庄之助が代々受け継いできた軍配には、それを意味する「知進知退」の語句が書かれているといいます。

 全40巻の歴史文学「太平記」には、南北朝時代の武将で後世に忠臣と称えられることになる児島高徳が高位の武将を諫めるシーンがあります。

「引くまじきところを引かせ、懸くまじきところを懸けさするを、大将の不覚とは申すなり」

 守るときではないのに守らせ、攻めるときでないのに攻めさせるのは失敗で、武将たる者は「攻守のチグハグを避けなければならない」ということです。そして、それは失敗なんかではないということです。

 政府が唱えたコロナ禍の「3週間の戦い」で感染者数は増え続け、医療機関への負荷も高まって〝医療崩壊〟の様相を呈している地域も出始めています。

 この「3週間の戦い」は、残念ながら敗色濃厚です。

 コロナ禍の感染対策の分科会が「Go To  トラベル」事業の見直しを求めたにもかかわらず、この間、菅政権はそれを続けてきました。

 経済を回す効果があったにせよ、守るべきときに国民にチグハグなメッセージを送り続けてきたのです。

 その事業の一時停止が決まり、今度は業界から悲鳴が上がっています。

 どうも菅首相は、発言するべきときに出す国民への言葉が乏しいようです。要するに、残念ながら出す言葉を持っていないのでしょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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