状況に配慮できない菅首相
コロナ禍の感染防止に集中的な対策を訴えた「勝負の3週間」は、本気で勝負するつもりなら菅首相がみずから言葉と行動で決意のほどを示すべきだったはずです。
しかし、政府が笛を吹いても繁華街や観光地の人出はあまり減っていません。皮肉なことに感染者は増え続け、医療は逼迫しています。
失敗の要因は、自制を求める一方でGoTo事業を続けた政策の矛盾です。
常識で考えても、おしゃべりを慎む旅行なんて楽しくないはずです。むしろ旅先では、はめを外しがちになるのが普通でしょう。
だが、菅首相はGoTo事業の継続にこだわり、「感染拡大の主要な原因とのエビデンス(証拠)はない」と言い張り続けています。
仮にそうだとしても、政府が旅行や外食を税金で推奨している事実が国民の心のタガを緩ませたのは否定できません。
菅首相は、国会答弁や記者会見は目を伏せて原稿を棒読みします。しかも、専門家の意見には耳を貸しません。
しかし、内閣支持率が急落すると「Go To トラベル」の全国一斉停止を〝即断〟しています。
つまり、政権の危機というエビデンスには敏感なのです。
一方、日ごろ冷静なドイツのメルケル首相は感情をむき出しにして、クリスマス期の対策強化への理解を国民に求めています。
「(対策を取らないで)1日590人の死は受け入れられない」
トップの本気度が感じられる、心を揺さぶられる演説でした。
片や菅首相は、「勝負」の期間中にネット番組でこうおどけています。
「こんにちは、ガースーです」
何とも状況に配慮もできない発言で、久しぶりに呆れてしまいました。
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