「はやぶさ2」のカプセルが帰還


 小惑星探査機「はやぶさ2」が採取した小惑星の砂が入っているとみられるカプセルが12月6日午前2時半ごろ、オーストラリアの上空で大気圏に再突入しています。

 月より遠い天体に着陸した探査機が帰還するのは、2010年の初代「はやぶさ」以来2例目です。

 とくに今回の小惑星「リュウグウ」の砂には炭素や窒素といった生命の材料になる有機物が豊富に含まれているとみられ、生命の起源の謎に迫れると期待されています。

 ところで、「玉手箱」は辞書では「身の回りの物を入れる手箱に美称の玉をつけた言葉」と説明されています。

 その語源の欄を見ると、「タマデバコ(魂出匣)の意か」という古い説が紹介されています。

 昔、「外魂(がいこん)」信仰といって、魂を身の外に出して保存すると不死身になるとの信仰があったといいます。

 この説によると、浦島太郎が玉手箱を開けて老人になったのも自分の魂の入った箱を知らずに開けた話と解釈することができます。つまり、魂出箱というわけです。

 今回、「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰る玉手箱からは何が出てくるのでしょう。

 思い出すのは、やはり10年前に感動のミッション達成の末に燃え尽きた初代「はやぶさ」の帰還劇です。

 だが、2代目「はやぶさ」はさしたる故障もなく、精度60センチの小惑星への着陸を初めとして世界初の難任務をそつなくこなしてきています。まさに、ゆうゆうたる帰還です。

 そのうえ今回、「はやぶさ2」はカプセル分離後に再び別の小惑星の探査に向けて帰らぬ旅に出かけています。

 リュウグウは予想以上に炭素を多く含む小惑星で、カプセル内の物質からは地球の生命誕生の謎解明につながる有機物が見つかる可能性が大きいといいいます。

 ここは、人類のルーツが秘められた魂出箱の豪州の大地での無事な発見を待ちましょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000