必殺ゲンバク攻撃


 近くの公園で、小学校低学年のグループがカードゲームで相手のモンスターを打ち負かそうと自分のモンスターの持ち技をおたがいに連呼していました。

「行けっ、必殺ゲンバク攻撃!」

 そのうちの一人が、みずから名付けたオリジナル技の名前をそう叫んでいました。

 声をかけてみると、少年は屈託なく名前の由来を明かしてくれました。

「原子爆弾は、学校の平和授業で『たくさんの人の命を奪った爆弾である』と習いました。だから、この名前なら凄い技だってわかるでしょう」 

 少年は、「原子爆弾」という言葉を〝強さ〟の象徴ととらえているようでした。そこで、こう言ってみました。

「原爆は恐ろしい爆弾だから使っちゃいけない、なくさなくちゃいけないと思うよ」

 すると、少年はこう疑問をぶつけてきました。

「何で? 敵を全滅できるじゃない。勝った方がいいじゃない」

 誰でも10歳に満たないころは、こんな考えだったかもしれません。その意識は、やがて変わってくれるのでしょうか?

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000