コロナ禍で鳥インフルエンザも増加中


 芭蕉の句に、こういうものがあります。

「病雁の 夜寒に落ちて 旅寝かな」

 旅先で風邪に伏せていた芭蕉が、湖に落ちる病んだガンの哀れに自らを重ねた句と言われています。

 病雁を「びょうがん」と詠むか、「やむかり」と詠むか方で、興趣も違ってきます。角川俳句大歳時記によると、「がん」も「かり」も鳴き声に由来する名前だといいます。

 その昔、ガンは春のウグイス、夏のホトトギスと同じように秋の深まりを「声」で伝える鳥とされていたようです。

「初雁」とは、その秋に初めて聞くガンの声を意味します。

 コロナ禍の今年、香川県の養鶏場で11月初旬、高病原性鳥インフルエンザが発生し、飼育されていた約33万羽が殺処分されるといいます。

 10月末には、北海道で野鳥の糞から高病原性ウイルスが検出されています。国内での発生は一昨年1月以来、2年10カ月ぶりだそうです。

 感染経路はまだ不明ですが、環境省は養鶏場の半径10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定しています。

 さらに野鳥への全国的な警戒レベルを最高の3に引き上げ、多数の野鳥の死骸を見たら素手で触らずに自治体に連絡するよう呼びかけています。

 濃厚接触による人への感染例もある鳥インフルエンザですが、人から人への感染は極めて稀です。鶏肉や鶏卵を食べても、今のところ感染の心配はないようです。

 ともかく病鳥の哀れが、我が身にも染み入るウイルス増長の秋冬です。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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