地下の空洞化が広がっている

 


 杞憂とは、取り越し苦労を意味します。

 この言葉は、天が崩れ落ちるのを気に病んだ杞の国の人に由来します。この杞人、天だけでなく地が崩落するのも心配しています。

 そこで、天は落ちないと諭した人は地も大丈夫と説いています。

 大地は、大きな土の塊です。その隅々まで、土で塞がれています。だから、多くの人は大地が壊れるのを心配する必要などないと思っています。

 しかし、4年前に発生した博多駅前の市街地の大陥没を初めとして数々の地盤陥没が国内や海外で発生しています。

 実際、地下は土の塊で塞がれているとは限らないのです。自然現象や人の活動によって生まれた地下の空洞は、想定外の地盤の崩壊をもたらすのです。

 東京・調布市の住宅地で起きた道路陥没は、長さが5メートル、幅が2・5メートル、深さが5メートルと大規模ではありません。

 注目されたのは、そこから40メートル以上の地下で東京外環自動車道のトンネル工事が行われていたことです。

 まだ陥没と工事との因果関係は不明ですが、ふつう地下深くの空洞も天井が次々に崩落して地表に及ぶことがあるといいます。 

 下水道などの埋設インフラの老朽化や温暖化による豪雨が招く出水も、都市の地下の空洞化のリスクを高めています。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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