政治の力学は感傷を許さない


 英国の人類学者フレーザーは、人類の「聖なる王殺し」を研究しています。

 たとえばアフリカ南部のソファラの王朝で、王の身体に何らかの異常が生じたらその王は臣民に命を奪われたといいます。

 たとえ歯が欠けても、部族の繁栄に欠かせない〝王の呪力〟が失われたものとして交代を強いられたというのです。

 つまり、王の病気や老齢は部族全体に衰亡をもたらすと考えられていたのです。

 しかし、あるソファラの王はみずから歯を折って臣民に平然たるところを示し、王殺しの習俗を廃止したといいます。

 今の民主主義政治でも、トップの病気は国民に目に見えない不安や動揺を呼び起こします。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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