政治の力学は感傷を許さない
英国の人類学者フレーザーは、人類の「聖なる王殺し」を研究しています。
たとえばアフリカ南部のソファラの王朝で、王の身体に何らかの異常が生じたらその王は臣民に命を奪われたといいます。
たとえ歯が欠けても、部族の繁栄に欠かせない〝王の呪力〟が失われたものとして交代を強いられたというのです。
つまり、王の病気や老齢は部族全体に衰亡をもたらすと考えられていたのです。
しかし、あるソファラの王はみずから歯を折って臣民に平然たるところを示し、王殺しの習俗を廃止したといいます。
今の民主主義政治でも、トップの病気は国民に目に見えない不安や動揺を呼び起こします。
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