投資詐欺を続けさせたオーラの正体


 被害額650億ドルという史上最大の金融詐欺の張本人であるナスダックのB・マドフ元会長は、こう告白しています。 

「こんなやり方は直ぐに終わりを迎えると思っていた」  

 しかし、マドフ元会長の投資詐欺は実に20年以上に渡って続けられたのです。  

 その手口は投資家に高配当をうたって投資資金を募り、実際には投資をしないで新規投資者の資金を別の投資者の配当に充てるという典型的で単純な〝自転車操業〟によるものでした。  

 長続きしないはずの新規投資が途絶えなかった理由は、金融界でのマドフ元会長の名声と人脈という〝オーラ〟がもたらしたものでした。  

 不正を見抜いた人が規制当局に何度も告発していますが、当局は無視しています。疑いを抱いた投資家も、配当を受け取ると事を荒立てませんでした。  

 世界の一流金融機関も米国の著名人も巻き込んだ巨大詐欺を発覚させたのは、金融危機を招いたリーマン・ショックでした。  

 日本でも先日、ジャパンライフの山口隆祥元会長など14人が詐欺容疑で逮捕されました。ジャパンライフと山口元会長も30年以上前から〝マルチ商法〟と指摘され、問題視されてきた企業と人物です。  

 同社は実態がほとんどない事業の株式や存在すらしない商品を買って預託すると配当がもらえるという商法で、約1万人から2100億円を集めて最終的には〝経営破綻〟しています。  

 この商法は、まさに新規の客の資金を別の客の配当に充てるマドフ方式と同様の自転車操業だったのです。  

 山口容疑者は顧客の前で自身の不幸を語って泣いたり、ときに親身になったりしながらターゲットに決めた投資家の心を動かす儲け話を展開していったとされています。  

 高齢者のなかには、巨額の被害を被った人も少なくありません。  

 山口容疑者の政財界との繋がりの自己宣伝や消費者庁の役人の天下り受け入れなどあの手この手の手練手管で、その破綻が先の伸ばしされていたといいます。  

 安倍前首相の「桜を見る会」への招待も、その経緯を改めて知りたいものです。もちろん、山口容疑者のオーラの正体を見定めておくことも忘れてはいけません。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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