「知恵の人」と「愚か者」


 ホモサピエンスは「知恵の人」という意味もあり、今生きている現生人類を指しています。古来から、哲人や賢者はホモサピエンスをいかに定義するか、なにが本質かについて考えてきました。  

 結果、たどりついたのは、ホモサピエンスが「社会的動物」「道具を使う動物」「笑うことができる動物」などであるといったことです。  

 オランダの歴史家ホイジンガは、人類を「遊ぶ人(ホモ・ルーデンス)」と表現しています。人類の文化の形成に、遊びが深く関係しているという考察です。    

 ホイジンガの著書が編まれた数百年前の日本の歌謡集「梁塵秘抄」でも、有名な一節が人類について問いかけています。 

「遊びをせんとや生まれけむ」  

 遊びとは、やはり人を人たらしめる重要な要素なのでしょう。  

 そう思わせる光景が先週末、サーフィンの名所である湘南海岸にありました。コロナ禍で不要不急の外出を控えるようにと呼びかけられているなか、〝愚か者〟と名指しされてもサーフィンに興じる人が溢れていたのです。  

 ふだんなら非難されることもないサーフィンもウイルスが持ち込まれて広がる恐れ、地元の人たちの危険や恐怖を考えると今は思い止まるときでしょう。  

 各地の自治体は、大型連休に向けて感染防止対策を打ち出しています。コロナ過は、五感では感じられない嵐が外で吹き荒れているようなものです。誰もが今は想像力を働かせる「知恵の人」であるべきときで、遊びは嵐が吹き病んでから始めましょう。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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