タガメの激減が暗示するもの


「高野聖」は、夏の季語です。これは高野山の霊験を説いて諸国を旅した僧のことではなく、水に棲む虫タガメのことです。夜、人里の灯火に飛んで寄ってくるといいます。 

〝異称〟の由縁は、背中にある模様が聖の背負う箱に似ていることです。昔、小魚を食べる害虫の印象もあったようですが、一方で〝ありがたさ〟も漂わせてきた不思議な生き物です。  

 そのタガメは今、絶滅が危ぶまれています。政府は、販売目的のタガメの捕獲を禁止しました。かつては全国各地で見つかったのに、すでにいくつかの県で絶滅が確認されるほど減ってしまったようです。  

 タガメは、農薬や水辺のコンクリート化など環境の変化で個体数が激減し、損なわれてきた里山の自然の象徴のようでもあります。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000