〝郵便屋さん〟の悲惨な姿

 現代ロシアの「アネクドート(風刺笑話)」に、次のようなものがあります。

 「プーチン大統領の支持率が120%だって?」 

「支持者1人に3度の回答をノルマにしたんだ」  

 こうした「ノルマ」も「アネクドート」も、その盛りは旧ソ連時代だったといいます。 たとえばスターリンの大粛清では、捕縛すべき「反ソ分子」の数の地域別ノルマがあったそうです。  

 ソ連の社会主義経済が、効率化や新製品開発より数量的ノルマ達成の偽装競争に陥って破綻したのはよく知られています。  

 なのに、今の日本でも「かんぽ生命」が保険の乗り換えを勧めて新旧契約の保険料を2重払いさせるなど大量の不正契約をしていたことが明るみに出ました。不正総数は、9万件を超える可能性があるといいます。  

 背景にあるのは、販売に当たる郵便局員に課せられた過大なノルマでした。なかにはノルマ達成のため契約書類を偽造していた例もありました。パワハラや自腹契約などの横行も伝えられています。  何より悲しいのは、自分たちを信頼し切った高齢者らに不利益な契約をさせて恥じぬ今日の「郵便屋さん」の無残な姿です。  

 半官半民となった今の郵便さんのノルマ経営は、公共的な財産である庶民の信頼を自らかなぐり捨て、なのに民間企業として新たな価値創造もできない官と民の最悪の組み合わせでしょう。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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