こうして〝見えない線〟は引かれていく

  東京電力福島第一原発事故の被災地域では、長引く汚染でこうした嘆きの声が上がっています。 「被災地域とそうでない地域とのに、放射能の見えない線が引かれてしまった」  

 東京に住んでいると、それが〝異常〟なことだということを忘れてしまいがちです。  

 福島県楢葉町で不動産業を営む男性は、福島第一原発に近い隣町に住む住民から放射線量の数値が書かれた紙を示されてこう依頼されました。 

「引っ越したい」  

 原発事故で福島県富岡町から、いわき市に避難している女性は清掃の仕事の面接でこう言われています。 

「東電から賠償金もらっているし、働かなくてもいいでしょう」  

 こうしたことが2、3度続いたそうです。  

 この女性は昨春、いわき市の仮設住宅から2キロほど離れた新しい団地に移りました。約七年の仮設暮らしでできた知人や友人と離れ、「今では、話し相手が東電の賠償窓口の人ぐらい」とこぼします。

   

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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