飛び切り不幸な最期

 夏目漱石の小説「吾輩は猫である」に、紀元前のギリシャの作家イスキラスの奇禍の伝説が載っています。ある日、頭の禿げたイスキラスが通り歩いていると空から亀が降ってきて頭を直撃しました。   

 この亀は、上空からワシが落としたものでした。捕らえた亀を地上に落として甲羅を割ろうとしたワシが、太陽の光でピカッと光った禿げた作家の頭を狙ったのです。不幸にも命を落としたイスキラスとは、古代ギリシャの3大悲劇詩人として有名なアイスキュロスのことです。  

 岩山に棲むヒゲワシは実際、動物の骨などを岩に落として割って食べるといいます。こうした話を聞くと、この伝説もにわかに真実味を帯びてきます。もしも伝説が本当の話なら、世界の偉人のなかでもとびきり不運な最期といえるでしょう。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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