知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ

 「論語」に次の言葉があります。 

「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ」  

 知恵のある人は水のように自在に行動し、徳の高い人は山のように動じないという意味です。古代から知者も、仁者も自然の山水を楽しんできました。  

 中国の盆景は、木々が生い茂る深山幽谷の景色を手元に置いて楽しみたいという発想から生まれたとされています。唐代の壁画には、お盆のような容器に植えられた花や木を持った人物像がよく描かれています。  

 盆景は平安時代に日本にも伝わり、これが盆栽として独自の発展を遂げています。19世紀前半の長崎のオランダ商館長は、日本独特の植栽技術に感心しています。 

「自然の成長を抑制、あるいは助長して異常な発育状態に導いている」  

 これは、曲がりくねった松の盆栽を連想させます。  

 今や盆栽愛好家は世界中に広がり、BONSAIは世界共通語となっています。関東大震災後に東京・千駄木周辺の植木屋が移転した「大宮盆栽村」は、今や日本観光の人気スポットです。樹齢数百年の名作の数々が陳列された「さいたま市大宮盆栽美術館」には連日、多くの外国人客が訪れています。  

 植木・盆栽の輸出も好調で、その昨年の輸出額は初めて100億円を超えました。精緻な名品は、高値で取引されるといいます。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000