政治的恩赦がまかり通ろうとしている

 イエス・キリストが許した信者の罪は様々で、新約聖書にはキリストが病気を治し、不義を赦す場面が描かれています。ただし、罪を悔い改め、信仰を深くすることが条件でした。しかし、永遠にゆるされない罪もありました。それは、神の力を信じない〝侮辱罪〟です。  

 ある日、イエスは目が見えず、口のきけない人を治したとき、〝悪魔の仕業〟と疑う人々にこう言いました。 

「人が犯すどんな罪や冒涜も赦されるが、聖霊に逆らう冒涜は赦されない」  

 戦前の日本なら、天皇に対する不敬罪に相当するかもしれません。ただし、大正天皇崩御にともなう恩赦では不敬罪に問われた宗教指導者を免訴しています。天皇とキリストの寛大さを比較しようもありませんが、〝主〟が施す恩恵には違いないでしょう。  

 政府は今、天皇陛下の即位にともなう今秋の儀式に合わせるため有罪を無効にしたり、失った資格を回復したりする恩赦を検討しているといいます。国家的な慶弔時とはいえ、一部の人だけが恩恵を受ける恩赦の実施には疑問です。その基準や範囲、プロセスも不透明です。  

 今夏には参院選があり、衆院との同日選も燻っています。選挙後に公職選挙法違反者が大量に救済されるなら、「政治恩赦」のレッテルを貼られるのは避けられないでしょう。 

 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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