イベント運営のノウハウは大相撲に学ぼう

 大相撲の巡業は、たいてい朝8時から始まります。寄せ太鼓が響き、会場にはファンが続々と詰めかけてきます。土俵では、すでに力士たちが稽古で激しくぶつかり合っています。やがて大関や横綱が現れ、四股を踏むと場内に期待と緊張の空気が漂います。  

 禁じ手などを面白おかしく説く「初切(しょっきり)」や相撲甚句の披露、横綱の土俵入りや白熱の取り組みなど進行はアナウンスと拍子木で滞りなく進行していきます。  

 そして午後3時ごろ、どよめきと歓声の渦の中、弓取り式を見て会場を後にすると、はや力士たちはバスに乗り、次の巡業先へと向かうところです。正直、その鮮やかな段取りには舌を巻きます。   一年半前、東京・お台場での巡業を仕切ったフジテレビのプロデューサーが、インタビューで当時の驚きを語っていました。力士280人、客3000人以上の興行が拍子木の音とマイク2本で済んでしまいます。スタッフが、無線で出番を合図する必要もありません。AKB48の何倍もの集団が、粛々と動いていくのです。  

 まさに長年、蓄積された効率化のノウハウで、これこそ250年の歴史が成せる技なのでしょう。力士たちがちが、状況に応じて自ら準備するモチベーションも見逃せません。観客を飽きさせないサービス精神も、築いたチームワークの賜物と思える見事さです。  

 一見、古めかしい世界にも見える角界ですが、業務の遂行や組織運営のヒントが土俵のそこここに埋まっています。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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